日本人はみんな温泉好き

日本人すべての趣味といっていい温泉に、10数年前からまたあたらしい形で登場してきたのが「日帰り温泉」です。それ以前は温泉といえば、旅館やホテルに宿泊する温泉旅行のことでした。
温泉地に近い人しか楽しめないスタイルだった「日帰り温泉」が、いつのころから広まったのか、正確にはわかりません。ブームがあって広まったというより、静かな需要が少しずつ形になっていって、世間が気づいたときには定着していた、そんな感じだったでしょうか。

有名温泉街の中には、アクセスに恵まれている場所がけっこうあります。神奈川県の箱根温泉はその代表格で、東京都心から直通の特急で1時間半しかかかりません。クルマでのアクセスも同様なので、日帰り温泉にぴったりの土地柄といえます。
外国旅行やレジャー施設に押されて客足が伸び悩んでいた箱根温泉が、日帰り温泉の人気が上がるやかつての盛況をまたたくまに取り戻したのですから、「日帰り効果」は抜群でした。

じつは箱根の人たちは最初、日帰り温泉に乗り気ではありませんでした。というのも、日帰りを始めてしまうと宿泊客がみんな泊まらなくなってしまって、ジリ貧になるのではとおそれたからです。

しかし、実際そうはなりませんでした。いちど日帰りで温泉を堪能したお客さんは、もういちど箱根をおとずれるようになったのです。旅館以外のお店も活気付き、全国的に温泉再ブームが起きるところまで盛り返しました。
日帰り温泉はすっかり定着し、導入していない温泉街はないといっていいほどです。日本人の温泉好きは、まだまだあたらしい温泉スタイルをこれからも生み出していくのではないでしょうか。